16. 祛湿剤(きょしつざい)

停滞した水液(湿)を除去する方剤です。祛湿薬を主体にし、化湿利水・通淋泄濁の効能によって水湿の邪による病変を改善する方剤です。

主症状:身体がだるい・関節が痛む
舌診:舌色は赤く、舌苔は厚く黄色い
原因:水分代謝の異常・暴飲暴食・アルコールの取りすぎ

祛湿

16.1 燥湿和胃剤(そうしつわいざい)

暴飲暴食

湿を乾燥して脾胃を調節する方剤ですね!。

方剤名 証 と 主治 効能・効果
平胃散
 
食滞証証:食滞証 ・寒湿困脾(湿困脾胃)証
虚寒型胃腸疾患・胃内停水・急、慢性胃腸カタル・消化不良・胃アトニー・胃アトニー・消化不良・食欲不振・胃腸神経症・口内炎・胃炎・胃拡張
胃炎 食欲不振 胃内停水

平胃散

藿香正気散
 
証:胃気上逆(胃腸の痙攣)証 ・寒湿困脾(湿困脾胃)証
寒湿困脾症(胃内停水・吐き気・下痢(泄瀉))/夏のカゼに多用される「外寒+内湿」治療の名方剤・胃内停水・吐き気・下痢

下痢

藿香正気散

胃苓湯(平胃散+五苓散)
 
証:寒湿困脾(湿困脾胃)証 ・脾胃湿熱(湿熱阻滞脾胃)証
胃腸水分停滞・腸鳴(急・慢性胃腸炎・消化不良・食あたり)/湿邪困脾で湿邪の程度が強いもの・ネフローゼ・夏季の食あたり・冷え腹・暑気あたり・急性腎炎・夏の神経痛
 身体痛 胃内停水

胃苓湯(平胃散+五苓散)

16.2 清熱祛湿剤(せいねつきょしつざい)

熱性の湿を除去する方剤です。

方剤名 証 と 主治 効能・効果
茵蔯蒿湯
 
証:皮膚病と湿熱 ・脾胃湿熱(湿熱阻滞脾胃) ・肝胆湿熱 ・中焦に湿熱の邪が侵入した場合
肝胆湿熱特に黄疸を呈する肝胆動系疾患


茵蔯蒿湯

茵蔯五苓散
 
証:中焦に湿熱の邪が侵入した場合 ・皮膚病と湿熱 ・脾胃湿熱(湿熱阻滞脾胃) ・肝胆湿熱
黄疸と浮腫を呈する肝疾患


 胃内停水

茵蔯五苓散

五淋散
 
証:膀胱湿熱証(泌尿器・生殖器炎症、結石)
排尿痛・頻尿・残尿感・尿道炎・膀胱炎・尿路結石・膀胱結石・腎臓結石・淋病・虫垂炎・衰弱による排尿障害

五淋散

三物黄芩湯
 
証:陰虚火旺
産褥熱・不眠・口内炎・神経症・手足のほてり・血の道症・皮膚病

三物黄芩湯

梔子柏皮湯
 
証:肝胆湿熱
皮膚掻痒症、黄疸に

梔子柏皮湯

16.3 利水滲湿剤(りすいしんしつざい

湿を排泄する方剤です。

方剤名 証 と 主治 効能・効果
五苓散
 
証:脾腎陽虚
水毒症あるいは蓄水症(浮腫(むくみ)・腹水・胃内停水)/水液代謝の失調を根本から解消、広範な「水証」治療に応用/水湿内停
 胃内停水

五苓散

胃苓湯(平胃散+五苓散)
 
証:湿痰
胃腸水分停滞(慢性胃腸炎・消化不良) 胃内停水

胃苓湯(平胃散+五苓散)

猪苓湯
 
証:湿痰 ・膀胱湿熱(泌尿器・生殖器炎症、結石) ・膀胱や性器の湿熱 ・陰虚
排尿(慢性膀胱炎・尿道炎・血尿)・止血効果の高い、泌尿器系の代表的利水剤。排尿痛、残尿感、血尿に

猪苓湯

防已黄耆湯
 
証:風水相搏
・気虚型浮腫・関節痛・多汗傾向のある腎炎・ネフローゼ・妊娠浮腫・陰嚢水腫・肥満症・関節炎・皮膚炎・多汗症・月経不順・癰・せつ・筋炎・変形性膝関節炎・蕁麻疹・わきが・関節リウマチ・膝関節炎・足関節炎
身体痛 生理

防已黄耆湯

茯苓飲
 
証:脾胃気虚
胃下垂・胃炎・胃アトニー・溜飲
胃炎 胃内停水

茯苓飲

木防已湯
 

証:心肺気虚
鬱血性心不全・腎臓疾患・浮腫・心臓性喘息・心内膜炎・心臓弁膜症・慢性腎炎・ネフローゼ
 動悸・息切れ

木防已湯

16.4 温化水湿剤(おんけすいしつざい)

温めながら湿を除する方剤です。

方剤名 証 と 主治 効能・効果
苓桂朮甘湯
 
証:脾陽虚証 の痰飲証
胃内停水・胃下垂・動悸・めまい・頭痛持ちで、立ちくらみや身体がフラフラする方、息切れがあり尿量が少ない方、神経質な方に。 胃内停水 動悸・息切れ

苓桂朮甘湯

苓姜朮甘湯
 
冷え性証:寒湿阻絡
身体を暖め、足腰の痛みをやわらげる。腰を中心に下半身の冷えが強く、痛みを伴う時に適す。尿量や排尿回数が多い。

苓姜朮甘湯

真武湯
 
冷え性証:腎陽虚証
重度な冷え・浮腫・下痢症・腹痛・身体を暖め、身体機能を高める働き。水分の循環を良くしたり、痛みをやわらげる効果。冷え性でやせ型、体力が低下していて、下痢や腹痛を起こしやすい人に向く処方。
下痢 腹痛 胃内停水 動悸・息切れ

真武湯

九味檳榔湯
 
証:気滞証
動悸・体の緊張状態をやわらげ、気分を落ち着かせる作用。心臓のドキドキ感や肩こり、倦怠感があって、便秘がちの人に。下肢のだるさ、疲労倦怠感が強い方に。
便秘

九味檳榔湯

胃風湯
 
証:血虚証
神経性胃炎・慢性胃炎・胃腸虚弱・胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐。
嘔吐 胃炎 食欲不振 腹痛

胃風湯

16.5 祛風勝湿剤(きょふうしょうしつざい)

風湿による肢体の痛みを治す方剤。
 

方剤名 証 と 主治 効能・効果
独活奇生湯
 
証:風寒湿痺 ・肝腎不足 ・気血両虚
慢性関節炎(リウマチ)・腰下肢痛・祛風湿・止痺痛・益肝腎・補気補血
腰痛 身体痛

独活奇生湯

大防風湯
 
冷え性証:気血両虚証
関節炎・膠原病・関節リウマチ・関節痛・痛風・身体を温め、痛みを発散して治す。病気が長びいて体力が低下し、冷えを伴うときに向く処方。 身体痛

大防風湯

疎経活血湯
 
証:気滞血瘀証
経絡不通の関節痛・神経痛・腰痛・血行や水分循環を改善し、痛みを発散して治します。
 腰痛 身体痛

疎経活血湯

二朮湯
 
証:湿痺
重くしびれを呈する関節炎・五十肩・腕や肩の痛みをやわらげる。
身体痛

二朮湯

薏苡仁湯 証:湿痺
腫脹・痺れ(しびれ)・疼痛を呈する関節炎・関節など身体に溜まった水分を取り去り、痛みをやわらげる。発汗作用があり、身体の熱や腫れ、痛みを発散して治す。 身体痛

薏苡仁湯

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