漢方薬治療方法
漢方薬はどのようなお薬でしょうか?。
処方の仕方や治癒効果について知りましょうね。
1.漢方薬って何なの
漢方薬と民間薬の違い
東洋医学で中心的な治療法となっている漢方薬。民間薬との違いをまず知っておきましょう。
1.1 東洋医学的な根拠による裏づけ
漢方薬は、鍼灸とならぶ、東洋医学の中心的な治療法ですね!。
植物、動物、鉱物など自然の素材でつくられた1生薬」※1を服用、あるいは、塗布する(塗薬にして塗る)ことによって、病気を治療します。
漢方薬は、「民間薬」と混同されることが多いです。
しかし、民間薬は、「どうして効くかはわからないけれど、昔から使われている」といったように、それぞれの土地の風土に合わせて用いられてきたもので、なぜ、どのように効くかは明確でないものも多いです。
これに対し、漢方薬は、その成分が身体にどのように働きかけて、病気を治療するかが、きちんと分析され、整理されています。
中国の大学では、単独の生薬の効能・効果を学ぶ「中薬学」と「漢方処方」※2の基本形を学ぶ「方剤学」は、どちらも必須科目になっています(鍼灸推拿科の学生も学びます)。
漠方薬と民間薬とでは、’1ま、その使用が東洋医学的に根拠づけられているかどうかという点で、決定的に異なっています。
次の画像は、「ドクダミ」です。
1.2 漢方処方の目的と効果
「葛根湯」「加味逍遙散」「八味地黄丸」など、「○○湯」「○○〕散」「○○丸」という名称の漢方薬は、漢方処方の基本形である。
この中に配合されている生薬どうしは相互に協調して、相乗的に働いたり、また過度に働きすぎないよう抑制し合うようになっています。
こうすることで、単独で用いるよりもずっと有効性が高まると同時に、副作用を予防することもできるのです。
簡単な病気には、基本形のまま用いても有効なのですが、病気や患者の状況がむずかしくなると、生薬の配合此率の調整や、「加減」(不要な生薬を除いて、必要なものを加える)といった補正が必要になります。
※1 生薬とは、動植物や鉱物などの素材を.モの性質を変えないで薬品として用いるものをいいます。
※2 複数の生薬を一定の原則にそって組み合わせたもの
2.日本の漢方薬は、中国のものと同じ?
日本と中国では、処方の考えかたにも違いがある。
日本の漢方薬にくらべ、中国の方剤は柔軟に処方を調節できる。
2.1 中薬と方剤
漢方薬には、東洋医学的な効果が確かめられている「生薬」と、複数の生薬を一定の原則にそって組み合わせた「漢方処方」があります。
中国では生薬のことを「中薬」、漢方処方の基本形を「方剤」と呼び、「漢方薬」という名称は使わないのです。
近年、日本にも「中医学」が普及してきているため、日本でも、中薬や方剤という名称もポピュラーになりつつあります。
日本では、漢方処方の基本形をそのまま患者に使って処方としてきました。
これに対して、中国では、方剤を組成する中薬の配合比率を変えたり、別の中薬を加えたりして、患者それぞれの「証」に合わせることを処方としてきました。
この違いは、日本では専門教育が進んでおらず、中薬に関する知識のレベルも低かったためです。
しかし、中医学の普及によって、日本にもようやく、本来の処方ができるような医師や薬剤師が増えてきています。
2.2 漢方薬の種類
現在、日本で手に入る生薬はおよそ350種顧、「漢方製剤」※は200種類余りです。
漢方製剤は、方剤そのままの生薬の組み合わせが多く、これには病院でも出される「エキス剤」のほか、「丸剤」のかたちで中国から輸入されている「中成薬」などが含まれます。

また、「正露丸」や「改源」など、日本で独自に考案されたものもあります。
これに対し、中国では、中医学の病院で使われる中薬は700種類にものぼります。
方剤にいたっては、大学の「中医内科」や「中医婦人科」で学ぶものだけでも600種類余りあり、「中医外科」やそのほかの科目でも、さらに多くの方剤が紹介されています。

このように中国では、日本より明らかに豊富な種類から選択して利用できるぶん、治療の幅が広いといえます。
※医薬品として厚生労働省から承認を得ている漢方薬(医療用医薬品)。
3.中国で買える薬は、日本でも手に入る?
中国には、日本では認められていない成分と処方によってつくられた薬がたくさんありますよ!。
3.1 厚生労働省が認可していない薬もある
日本で売られている漢方薬は、厚生労働省が認可したものに限られます。
逆にいえば、認可がなければ、たとえ中国において実際に長く使われ、効果が確かめられた「生薬」や「方剤」であっても、日本では使えないのです。
そればかりか、たとえ認可された生薬しか人っていなくても、「処方構成rが認められていない方剤は製品化できないのです。
認可を得るためにはお金と時間がかかるので、メーカー側も次から次に申請するわけにはいかないのです。
このため、新しく認可されるものは、数年にひとつといった状況です。
こうした背景から、中国と日本で使われる生薬の数をくらべると、中国ではおよそ700種類が常用されているのに対し、日本で使うことができるのは350種類です。

中国で入手できても、日本では手に人らない薬がたくさんあるということです。
3.2 中国からのおみやげにするのは要注意
そうなると当然、中国旅行のおみやげに漢方薬を、と考える人も多くなるでしょう。
しかし、安易に薬を買ったり、人にあげたりするのは考えものです。
漢方薬は、きちんとした診察にもとづいて処方するものなので、専門家の診察を受けず、勝手な判断で購入してはいけないです。
自分が使ってみて調子がいいからといって、同じ病名の人にそれをあげても、「証」に合わなければ、症状を感化させることもあります。
また、日本に持ち帰り、おみやげとしてだれかにあげた場合、認可されていない成分が配合されていたために問題が生じたりすれば、相手にも迷惑をかけることになります。
※どのような働きの生薬が、どれだけの配合比率で組み合わされているかということです。