脈で身体の異常を知る脈診

身体の異常、病気の経過を脈が示します。

深さ・数・強さを調べ身体の異常を知る

脈診とは、指の先で患者の脈に触れ、その脈象(深さ、数、強さなど)を調べることです。
現代医学の脈診は、心機能、自律神経機能、循環動態などの異常を探し出すのが目的ですが、漢方(湯液)や鍼灸の脈診は主に証の診断と鑑別、病気の予後、病態生理、臓腑の異常などを知るために行います。
脈診をとる部位として、擁骨動脈拍動部(寸口)の脈を診るのが特徴で、寸口部は寸口(寸)、関上(関)、尺中(尺)に分けられます。
それぞれに人荒し指、中指、薬指を当てて診ます。患者は、座るか仰向けに横になって腕を心臓とほぼ同じ局さに伸ばし、手のひらは上に向けるのが基本です。
鍼灸の診察では原則、両手で診ますが、漢方は片手で診ることもあります。

基本は浮・沈、数・遅、実・虚の六脈

漢方医学では、健常者の脈を半人の脈または平脈といいます。
平脈は、1分間に60~80回、一定のリズムで刻まれ、深くもなければ浅くもなく、強・弱や大・小がない状態をいいます。
漢方で用いられる代表的な脈診所見は約28種類ありますが、そのうち重要なものは、浮脈・沈脈、数脈・遅脈、実脈・虚脈の六脈です。

浮脈・沈脈では脈の位置の違いで病気の場所を、数脈・遅脈では脈拍数の違いで寒熱を知ります。
実脈・虚脈は、脈の勢いの違いで虚実を調べます。なお、鍼灸では漢方(湯液)とは異なる六部定位脈診を行います。

指の当て方

脈をとる時の指の当て方

手首の親指側にある骨の突起よu内側の位置が「関」。
そこに中指を当ててから、「寸」に人さし指、「尺」に薬指を置く。
両手首の脈をとるのが星本です。

六脈以外外の脈と兼脈

現代用いられる代表的な脈所見は、六脈以外にもあり主な脈は、緩脈、緊脈、滑脈、渋(しょく)脈、弦脈、細(小)脈、促脈、洪(大)脈、微脈、弱(軟)脈、伏脈、孔脈、結脈、代脈などです。
下表では、これらについて説明しています。

また臨床的には、脈診は単一ではなく、複数の脈象の組み合わせで用いて証を決めることが多く、これを兼脈といいます。
たとえば浮数弱は、浮脈で拍動数が多く、力のない脈は桂枝湯の証を意味しています。
よくみられる兼脈には、浮数弱、浮数強、浮遅弱、沈遅実、沈遅弱、弦細、沈緊、沈結、沈渋、細遅、微細、大弱などがあります。

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