脈診は、切診とも称し中医臨床の四診(望・聞・問・切)の最後に位置するものです。
これは中医臨床における疾病の診察・病状の分析・漏機変化の検討・弁証論治方案を制定するための重要な診察法の1つであり、古(いにしえ)より長きにわたり臨床医家が重視してきたものです。
歴代の多くの著名な医家は生涯にわたりその道を研究し、脈診の体験を書物に著し説を立て、後世の人に学習しやすいように残しました。
しかし、脈学診法の内容は広くて深く、流派は数多くあり、その源は深くその流れは長いです。
そのため脈診の文献や書籍は各種あり、学習の参考を提供していますが、初学者にはその要領を掌握することは容易ではなく、はなはだしくは入門しようにもできないです。
そのため、はじめて脈診を学びその難しさを知りあきらめたり、あるいは生半可な知識を求めるだけの者は数知れないです。
たとえ長期間臨床に従事している医家でもその道に精通している者の数は多くないです。

脈で身体の異常を知る脈診

身体の異常、病気の経過を脈が示します。

深さ・数・強さを調べ身体の異常を知る

脈診とは、指の先で患者の脈に触れ、その脈象(深さ、数、強さなど)を調べることです。
現代医学の脈診は、心機能、自律神経機能、循環動態などの異常を探し出すのが目的ですが、漢方(湯液)や鍼灸の脈診は主に証の診断と鑑別、病気の予後、病態生理、臓腑の異常などを知るために行います。
脈診をとる部位として、擁骨動脈拍動部(寸口)の脈を診るのが特徴で、寸口部は寸口(寸)、関上(関)、尺中(尺)に分けられます。
それぞれに人荒し指、中指、薬指を当てて診ます。患者は、座るか仰向けに横になって腕を心臓とほぼ同じ局さに伸ばし、手のひらは上に向けるのが基本です。
鍼灸の診察では原則、両手で診ますが、漢方は片手で診ることもあります。

基本は浮・沈、数・遅、実・虚の六脈

漢方医学では、健常者の脈を半人の脈または平脈といいます。
平脈は、1分間に60~80回、一定のリズムで刻まれ、深くもなければ浅くもなく、強・弱や大・小がない状態をいいます。
漢方で用いられる代表的な脈診所見は約28種類ありますが、そのうち重要なものは、浮脈・沈脈、数脈・遅脈、実脈・虚脈の六脈です。

浮脈・沈脈では脈の位置の違いで病気の場所を、数脈・遅脈では脈拍数の違いで寒熱を知ります。
実脈・虚脈は、脈の勢いの違いで虚実を調べます。なお、鍼灸では漢方(湯液)とは異なる六部定位脈診を行います。

指の当て方

脈をとる時の指の当て方

手首の親指側にある骨の突起よu内側の位置が「関」。
そこに中指を当ててから、「寸」に人さし指、「尺」に薬指を置く。
両手首の脈をとるのが星本です。

六脈以外外の脈と兼脈

現代用いられる代表的な脈所見は、六脈以外にもあり主な脈は、緩脈、緊脈、滑脈、渋(しょく)脈、弦脈、細(小)脈、促脈、洪(大)脈、微脈、弱(軟)脈、伏脈、孔脈、結脈、代脈などです。
下表では、これらについて説明しています。

また臨床的には、脈診は単一ではなく、複数の脈象の組み合わせで用いて証を決めることが多く、これを兼脈といいます。
たとえば浮数弱は、浮脈で拍動数が多く、力のない脈は桂枝湯の証を意味しています。
よくみられる兼脈には、浮数弱、浮数強、浮遅弱、沈遅実、沈遅弱、弦細、沈緊、沈結、沈渋、細遅、微細、大弱などがあります。

脈の基礎知識とは、脈診をするために最低限必要な知識のことです。
般的には、28種類の病脈を覚えることと思われていますが、その前に理解しなければならないものがあります..それが脈の基礎知識です。
脈の基礎知識を具体的にいうと、

①平脈とは何か
②脈診の基礎となる脈
③気血・陰陽`病邪と脈の関係
の3点です。

①平脈とは何か
病脈はもともと正常な脈(平脈)からの変化ですので、病脈を知るには生ず平脈を知らなければなりません。
もし平脈を無視すると般的な病脈・r札の脈診となりがちです..臨床で平脈が現れて回復の兆しを呈している…を見逃したり、どの程度病的なのかという基準もなく脈診することに∴二ってしまいます。

②脈診の基礎となる脈
脈診をするときに注目すべき脈を指します..実際に脈診をするときは、lIH種類の病脈を1つひとつ診るのではなく、14種類の基礎となる脈を調1れば完了してしまいます..つまりそのほかの脈は基礎となる脈の複合脈!L’ぴ〕です。

③気血・陰陽・病邪と脈の関係
気血・陰陽・病邪が脈とどのような関係にあり、気血・陰陽の偏盛偏衰や病邪の感受によって脈はどのように変化するかを述べたものです。
これが「第1部 脈理篇」の根幹をなすものです。
ここが把握でると、脈診の結果から病人の気血・陰陽・病邪がどのような状態にあるかを判断ずることができ、さらに問診の結果と照らし合わせて治療方針の一助とすることができます。

臨床で自信をもって脈診をするために、まずは以上の3点を把握することから始めましょう。

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