処方名:茯苓飲
読み仮名:ふくりょういん
●全体として溜飲(飲食物が胃に滞って、酸性の胃液がのどに上がってくること)の除去、蠕動(ぜんどう)促進(消化管壁が食物を送る運動を促進)、消化吸収の促進に働きます。
●脾胃が虚して胃内停水をきたし悪心、嘔吐を起こしている状態に用います。
●胃下垂・胃アトニーで、胃内停水が著しく、胸やけや呑酸(すっぱい水が上がってくること)のあるものに使用します。
●寒虚証の方向きの漢方薬ですが、ひどい虚証の方には適しません。
●お腹が空いているのに、吐いて食べられないという様な時によく使用します。
●本剤は、漢方の古典「金匱要略」(きんきようりゃく)後漢時代収載の処方に基づいて作られたエキスを、飲みやすく顆粒剤としたものです。
●本方は6種類の生薬から成り、その主薬である茯苓の名をとって処方名とされました。
【主治】
脾胃気虚(胃下垂)
●適応症:胃炎、胃アトニー、溜飲(飲食物が胃に滞って、酸性の胃液がのどに上がってくること)、胃下垂、胃神経症、胃拡張、消化不良、胆石症
次の症状のいくつかある方は、茯苓飲が良く効く可能性が大きいです。
【効能・効果】
吐き気や胸やけがあり尿量が減少するものの次の諸症:胃炎、胃アトニー、溜飲
【成分】
茯苓飲の構成生薬は、胃腸によい下記の6種類です。無駄な水分を取り除く“茯苓”と“蒼朮”、滋養強壮薬の“人参”、健胃作用のある“陳皮”や“枳実”・“生姜”などです。降性の“枳実”には、みぞおちの張りやつかえを下す作用があるといわれ、胸焼けや胃酸のこみ上げにも効果的と考えられます。
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.75gを含有する。
日本薬局方 ブクリョウ(茯苓)…5.0g
日本薬局方 ソウジュツ(蒼朮)…4.0g
日本薬局方 チンピ(陳皮)…3.0g
日本薬局方 ニンジン(人參)…3.0g
日本薬局方 キジツ(枳実)…1.5g
日本薬局方 ショウキョウ(生姜)…1.0g