処方名:当帰飲子
読み仮名:とうきいんし
●乾燥して分泌物の少ないかゆみのある皮膚病に用います。
●皮膚がカサカサして鱗屑がありかゆみの強い皮膚病、アトピー性皮膚炎、老人性皮膚そうよう症に使用します。
●老年になると皮膚が乾燥気味になって、かゆみを訴えることがよくあります。
また、老齢の方でなくても空気が冷えて乾燥してくる季節、皮膚がカサカサした傾向になったり、かゆみに悩まされる方も近年増えています。
●これらは漢方では血虚(けつきょ)(滋潤・栄養のはたらきをする血(けつ)の不足)に伴って起こっていると考えますが、ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用)は分泌物の少ない湿疹、かゆみをおさえるお薬です。
●人によって服用する期間は異なりますが、1ヵ月程度の服用で完治するといわれる良薬です。
●本剤は、漢方の古典「済生方」(さいせいほう)収載の処方に基づいて作られたエキスを、飲みやすく錠剤としたものです。
●本方は10種類の生薬から成り、その主薬である当帰より名付けられました。なお、飲は冷服することを指し、子が付加された場合の意味は、頻回に服用するという取り方と、飲の音韻上の問題で収まりをよくするために付け足した文字であるという解釈があります。
●血虚、血燥による皮膚掻痒(血虚生風)を治す方剤で、四物湯の加方です。
●皮膚が萎縮乾燥して生じる老人性掻痒(そうよう)によく用いられます。
【主治】
血虚(血燥)性皮膚掻痒症(老人性蕁麻疹(じんましん)など)、乾燥
●適応症:慢性湿疹(乾燥した皮膚)、老人性皮膚掻痒症、かゆみ、皮膚掻痒症、痒疹、尋常性乾癬、皮膚炎、蕁麻疹
次の症状のいくつかある方は、当帰飲子が良く効く可能性が大きいです。
【効能・効果】
冷え症のものの次の諸症:慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、かゆみ。
【成分】
当帰飲子は、主薬の当帰をはじめ、下記の10種類の生薬からなります。当帰と川きゅうと地黄は代表的な理血薬です。体の血行をよくして体をあたためるとともに、水分を保持する作用があります。防風と荊芥は発散性の生薬で、皮膚病の病因を発散して治します。また、滋養作用のある黄耆や何首鳥・しつ梨子は皮膚の栄養を高めるのに役立ちます。
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス1.75gを含有します。
日本薬局方 トウキ(当帰)5.0g
日本薬局方 ジオウ(地黄)4.0g
日本薬局方 シャクヤク(芍薬)3.0g
日本薬局方 センキュウ(川きゅう)3.0g
日本薬局方 ボウフウ(防風)3.0g
日本薬局方 オウギ(黄耆)1.5g
日本薬局方 ケイガイ(荊芥)1.5g
日本薬局方 カンゾウ(甘草)1.0g
シツリシ(しつり子)3.0g
カシュウ(何首烏)2.0g